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天牛書店の歴史は、明治40年(1907)に創業者天牛新一郎が大阪市南区二つ井戸で開いた露天の古本屋に始まります。
明治25年(1892)和歌山県伊都郡に生まれ、家業の失敗から家族と共に8歳で大阪に移り住んだ新一郎は、高等小学校を卒業後、古道具屋を営む父の助けを受けつつ15歳で古本屋を始め、数年間の夜店回りの後、大正4年(1915)日本橋南詰浜側に小さな店舗を借りて「くもじや 天牛書店」を開業しました。
昭和7年日本橋二つ井戸店舗図
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戦前の広告 |
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夜店風景
この店でまず新一郎が始めたのは、古本の正札販売でした。
そして「売買とも絶対駆け引き致しません」と宣言して、「高く買って、安く売る」良心的取引を心がけ、天牛書店の名を大阪に広めることに成功しました。
昭和7年(1932)には日本橋二つ井戸に、間口11メートル、奥行き41メートルの大規模店舗を開店するに至ります。
天牛書店の出店をきっかけに他の古書店も増え始めた日本橋界隈は次第に古本の街として定着し始め、大阪大空襲によってその面影を失いましたが、全盛期は東京の神田と並ぶ大古書街でした。
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